狐火
意味
狐火とは、夜の野山などで、燃えるもののないはずの所にぽつりぽつりと光って見える、不思議な火のことです。
「鬼火」や「燐火」とも呼ばれます。
光はついたり消えたりをくり返し、いくつもの火が横一列に連なって見えるといわれます。
川の向こう岸や村の外れのように、土地と土地の境になる所で見たという話が多く、時刻は日暮れどきや、天気がくずれかけるころだったといわれます。
何が光っているのかは、はっきりしていません。
地面の近くで光が異常に曲がって進む(異常屈折)ためだと説明する研究があり、燐化水素が燃えるためとする見方もあります。
由来
名前は、狐が口から火を吐くという、古くからの言い伝えから来ています。
江戸の人々は、大晦日の夜に王子(今の東京都北区)の神社のあたりでともる火を、関東一円から集まってきた狐の火だと言い伝えていました。
年の暮れには、この火を目当てに王子まで足を運ぶ見物人もいたといいます。
狐火の数や燃え方は、次の年が豊作になるか不作になるかを知る手がかりにもされたそうです。
年の暮れの王子の狐火がよく知られていたことから、狐火そのものも冬のものとして扱われるようになったと見られています。
ただし、見える時季でいえば春から秋のはじめにかけてが多い、とする観察もあります。
傍題
「狐の提灯」は、狐火の別の呼び名です。
たくさんの火が並んで進むように見える狐火は、提灯をさげた行列にもたとえられ、「狐の嫁入り」とも呼ばれてきました。
例句
狐火や髑髏に雨のたまる夜に
蕪村『蕪村句集』