美しい冬の季語
声に出したときの響きや、字で書いたときの見た目(字面)が美しい冬の季語42語です。
風花・冬麗・虎落笛のように、句や手紙に使いたくなる、おしゃれな言葉がそろっています。
歳時記では、見出しの季語の横に、ほかの言い方が添えてあります。
これを傍題といい、同じものの別の呼び名のほか、その季語の一場面や仲間を指す語も入ります。
傍題にも、響きのよい言葉がたくさんあります。
空と光の季語
冬の空と、空の光の言葉です。
冷たく澄んだ夜の星から、穏やかな晴れの日、夕焼の色、冬の霞、冷えこんだ朝まであります。
冬の星
寒い季節の夜空に見える星のことです。
冷えた夜には、星の光も冷たく感じられます。
光が凍ったように見えることから「凍星」とも呼びます。
「冬銀河」「寒昴」も、冬の星の仲間の季語です。
冬麗
冬によく晴れて、穏やかに明るい日のことです。
「麗」は「麗らか」の字で、「うららか」「うらら」はふつう春に使う言葉です。
その字に「冬」を重ねた語で、「冬うらら」ともいいます。
冬の夕焼
冬の夕方、西の空が赤く染まることです。
「冬茜」「寒茜」ともいいます。
夕焼だけなら夏の季語です。
冬霞
暖かな冬の日に立つ霞のことです。
「寒霞」ともいいます。
霞だけなら春の季語です。
冬の朝
冬に迎える朝で、冷えこみの厳しい一日の始まりです。
夜明けのころは「寒暁」「冬曙」ともいいます。
雪と氷の季語
雪や氷、霜にまつわる、冬の白い景色や冷えこみの言葉です。
風花
晴れた空から、花びらのように舞ってくる雪のかけらです。
「かざばな」とも読みます。
雪
空から降って地面を白くおおう、氷の結晶です。
結晶の形から「六花」とも呼びます。
「細雪」「深雪」「雪明り」も、雪の仲間の言い方です。
初雪
冬になって最初に降る雪です。
多くは積もらずに消えます。
霰
雲の中で育った白く小さな氷の粒が、降ってくるものです。
「玉霰」「夕霰」のようにも詠みます。
雪催
空を見て、まもなく雪が降り出しそうだと感じられるようすです。
「雪模様」ともいいます。
霧氷
氷点下の霧や水蒸気が、木の枝などに白く凍りついたものです。
「樹氷」は霧氷の種類の一つで、強い風の吹く山でよく見られます。
「霧氷林」という言い方もあります。
霜
冷えこんだ夜に、空気中の水蒸気が地面や草の上で凍ってできる細かな氷です。
寒さの厳しい夜に、しんしんと音がするように感じられることを「霜の声」といいます。
「霜の花」という言い方もあります。
霜夜
霜の降りる、冷えこみの厳しい夜です。
やわらかな響きの季語
小春・時雨・千鳥のように、声に出すとやわらかく聞こえる言葉です。
寒さの中のぬくもりや静かな雨、水辺の鳥、宙をただよう小さな虫など、穏やかなものを表す語が並びます。
小春
冬のはじめに、春が戻ってきたように暖かく穏やかな日がつづくことです。
冬の言葉に「春」の字が入るのは、この春のような暖かさを表すためです。
「小春日和」の形でも使います。
日向ぼこ
寒い日に、日の当たる暖かい場所でぬくもることです。
「日向ぼっこ」と同じことを指します。
時雨
晩秋から初冬のころ、降ったりやんだりをくり返す雨です。
「小夜時雨」「村時雨」のような言い方もあります。
千鳥
海辺や川原の水ぎわで暮らす小さな鳥で、仲間と鳴き交わします。
「千」の字のとおり、たくさん群れをつくることから付いた名だといわれます。
「浜千鳥」「小夜千鳥」のように、いる場所や時を付けた言い方もあります。
水鳥
泳ぐ鳥や水辺を歩く鳥など、水と縁の深い鳥をまとめた呼び名です。
「浮寝鳥」ともいい、水に浮いたまま眠る姿がそのまま名になっています。
白鳥
首が長く体の大きな、羽のまっ白な水鳥で、冬になると北から渡ってきます。
「鵠」とも呼びます。
鶴
首と脚の長い大きな鳥で、古くから長生きのしるしとして、めでたいものとされてきました。
昔の和歌では「たづ」と詠まれたと考えられています。
「凍鶴」という言い方もあります。
綿虫
アブラムシの仲間の小さな虫です。
蝋に似た白いものを体につけて飛び、その姿を宙にただよう綿くずに見立てて、この名が付きました。
「雪蛍」「ゆきむし」とも呼びます。
冬の花と草の季語
草木の枯れる冬にも、咲く花や、芽を出す草、散り残る紅葉があります。
山茶花
ツバキの仲間の木で、10〜12月ごろに花が開きます。
名前は「さんさか」という呼び名の音が変わったもので、「さんさか」は、ツバキを指す中国の名から来ています。
水仙
寒い時期に、白や黄色の花を咲かせる草花です。
「雪中花」という別名もあります。
寒椿
寒い季節に花を開く椿です。
「冬椿」ともいいます。
寒桜
冬のうちに咲く桜です。
「冬桜」「緋寒桜」も、寒桜の仲間の季語です。
冬菫
冬の間に花を見かけるすみれです。
すみれだけなら春の季語です。
帰り花
季節はずれに、もう一度咲いた花です。
咲くのはたいてい、一本の木や株の、ごく一部だけです。
「返り花」とも書き、「狂い咲き」「二度咲き」「返り咲き」ともいいます。
冬萌
まだ寒いうちに出てくる草の芽です。
春の初めのものは、季語では「下萌」といいます。
冬紅葉
冬になっても散らずに残っている紅葉です。
紅葉は秋の季語です。
かっこいい季語
冷たい風や鋭い鳥、冴えた月、闇にともる火など、引き締まった響きの言葉です。
凩
秋の終わりから冬のはじめに吹く、冷たく強い風です。
「凩」は日本で生まれた字(国字)です。
「木枯」とも書き、名前は「木を枯らす」ところから来たといわれます。
虎落笛
竹垣や柵のすき間で、笛を吹くように鳴る冬の強い風の音です。
虎落は、竹で組んだ囲いの呼び名です。
鷹
先の曲がったくちばしと鋭い爪で、昼に鳥やけものをとらえる鳥です。
「大鷹」「隼」も、鷹の仲間の季語です。
吹雪
強い風の中で雪がはげしく舞い、前が見えにくくなることです。
雪が降っていないときに舞い上がる雪は「地吹雪」といいます。
冴ゆ
寒さが厳しく、空気がしんと冷えきることです。
「星冴ゆ」「鐘冴ゆ」と言えば、星の光や鐘の響きが冷たく澄んでいることを表します。
冬の月
冬の夜空に出る月です。
くっきりと澄んだ姿と冷たい光が、見る人に寒々しさを感じさせます。
「寒月」ともいいます。
「月冴ゆ」は、冷たく澄みきった月の光をいう言い方です。
冬木
冬の木のことで、多くは葉を落として枝ばかりになった木を指します。
「冬木立」「冬木道」のようにも使います。
狐火
火の元もないのに、暗い山や野原にともって見える不思議な火です。
狐が口から火を吐くという古い言い伝えから付いた名です。
静かな景色の季語
冬の山や野原の、音の少ない景色の言葉です。
地面の霜柱や軒の氷柱のような、身近な冬の景色もあります。