懐炉
意味
懐炉とは、寒いときに胸やおなかを暖める、持ち歩きのできる道具のことです。
服のふところに入れたり、体に貼ったりして使います。
よく見かけるのは使い捨ての懐炉で、袋を振ったりもんだりすると、中に入った鉄の粉などが熱を出します。
使い捨てが出回る前に使われていたのは、火を使う懐炉です。
揮発油の一つであるベンジンを燃やすものや、懐炉灰という灰を金属の箱の中で燃やすものがありました。
由来
寒さをしのぐために、昔の人は、こんにゃくを熱く煮たものや、石を熱して布でくるんだもの(温石)をふところに入れていました。
懐炉灰を使う懐炉は、元禄(1688〜1704年)の初めごろに考え出されました。
懐炉灰には、ナスの茎などを焼いた灰が使われました。
使い捨ての懐炉が広く使われるようになったのは、昭和50年代のことです。
傍題
「温石」は、懐炉より古くから使われてきた、温めた石です。
江戸時代の書物は、日本の温石を「色白くして少く青し。やはらかなり」と記しています。
白っぽくて少し青みがあり、やわらかい石だという意味です。
例句
三十にして我老いし懐炉哉
子規『寒山落木』
炉のふちに懐炉の灰をはたきけり
子規『俳句稿』