炭
意味
炭は「木炭」ともいい、暖をとったり煮炊きをしたりするときに燃やします。
木を窯に入れて蒸し焼きにすると、黒い炭ができあがります。
江戸時代の書物でも冬の三か月を通して使う言葉とされています。
元になる木もクヌギ・カシなどいろいろで、呼び名はたくさんありますが、大きく見れば白炭と黒炭の二つです。
白炭は表面が白っぽく、とてもかたい炭です。
燃え残って黒くなったものは「消炭」と呼びます。
石油やガスが家庭に広まってからは、暮らしの中で使うことはぐっと少なくなりました。
由来
室町時代のころには、炭はふつうの家の煮炊きや暖房にも使われるようになりました。
質のよい茶の湯用の炭が作られたのは、茶道が盛んになった江戸時代のことです。
傍題
茶の湯でよく知られた炭に「佐倉炭」があります。
クヌギを焼いた黒炭です。
「枝炭」も茶の湯の炭で、細い枝を二、三本ずつわらで束ね、そのまま焼いて作ります。
胡粉で白く仕上げたものもあります。
料理店で魚や肉を焼くのに好まれるのが「備長炭」で、紀州のものはウバメガシを材料にした、とてもかたい白炭です。
「炭斗」には、かごで編んだものやひょうたんで作ったものなど、いろいろな形があります。
使い方
炭にかかわる古い言葉に「炭がしら」があります。
焼けきらずにまだ煙を上げている炭を、こう呼ぶ土地があったと江戸時代の書物に記されています。
俵の中の大きな炭を指すという見方もありますが、同じ書物はこれを、筋は通るものの「風情うすし」(味わいが乏しい)としています。
例句
くわんくわんと炭のおこりし夜明哉
一茶『享和句帖』
炭くだく手の淋しさよかぼそさよ
一茶『文化句帖』
朝晴にぱちぱち炭のきげん哉
一茶『七番日記』